2040年には高齢者の4割が一人暮らし?

誰もが年をとるにつれ死への不安を抱きます。とくに、連れ合いに先立たれた場合、その不安は募ります。お子さん、きょうだいなどの身寄りがなければ、いっそう不安は募る一方でしょう。

突然の病気で倒れても誰も気づいてはくれない。実際、1人暮らしの高齢者の多くが、脳梗塞や心筋梗塞などで倒れたまま、しばらくして遺体で発見されています。孤独死」をした上、遺体は腐乱し、液状化していたり、白骨化していたりして発見されるケースもあります。コロナ禍になってから、こうしたケースが増えています。

誰もが、そうなりたくはない。しかし、高齢化社会が急速に進むいま、「独居老人→看取り難民→孤独死」というケースはますます増えます。

2040年には、65歳以上の高齢世帯のうち約40%が1人暮らしになると推測されます。現在、日本には「2025年問題」が目前に迫っています。団塊世代の全員が75歳(後期高齢者)を超え、年間死亡者数が激増し、日本が本格的な「多死時代」を迎えるということです。

いまも年間約150万人の方が亡くなっていますが、うち約3、4万人が孤独死と言われています。孤独死には正確な定義がないので、あくまで推定です。コロナ死を問題とするなら、数の上から見て孤独死のほうがより大きな問題です。

20年の国勢調査では、65歳以上の1人暮らし世帯の増加が続いており、その数は671万6806人。高齢者5人のうち1人が1人暮らしとなっています。男女別に見ると、男性は230万8171人、女性は440万8635人で、女性が圧倒的に多いのです。

1人暮らし世帯の増加は、高齢者だけの問題ではありません。日本の全世帯における1人暮らし世帯の割合は38・0%で、単身高齢者は5年前の前回調査に比べ13・3%も増加しています。この方々が、孤独死予備軍と言えるのです。このような1人暮らし世帯の増加率から、2040年には高齢者の10人に4人が独居老人となり、これは確実な未来なのです。

では、同居老人の急激な増加は日本社会にどんな影響をもたらすでしょうか? 私のような医療従事者から見れば、終末期医療の拡大による医療人材、介護人材の不足や医療費の増加などが挙げられますが、根本的に社会そのものが成り立たなくなるのではないかという気がします。

それは、これまでの日本社会では家族が、高齢者の貧困、孤立、介護、医療などのリスクを支えてきたからです。しかし、単身世帯は少なくとも同居家族がいないので、こうしたリスクに対応できません。

介護一つをとっても、いくら介護保険があろうと、介護者を外に求めなければなりません。しかし、介護人材はまったく足りていません。コロナ死が高齢者に多く、ほとんどが老人施設で起こっていますが、どの施設も人材不足は深刻です。

今後、日本社会が単身世帯ばかりになり、少子化はますます進みます。はたしてこれで社会が維持できるだろうかという思いが強くなるのです。

高齢者の多くが1人暮らしになると、社会から孤立して、その状況が見えなくなります。若年層の単身世帯も、そのまま生涯未婚で高齢の単身世帯になる確率が高いといえるでしょう。

はたしてこの状況を放置しておいていのでしょうか。孤独死の増加は、未来からの警告です。

ZakZak 夕刊フジ2022/04/06から引用

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